寮監3年(平静14~17年)

元教養科 講師 黒川 幸男

 卒業生の皆様にはそれぞれの場で鋭意ご活躍のこととお慶び申し上げます。 

 私は平成14年4月1日~17年3月31日の3年間寮監を勤めました。この当時沼津高専生、寮生であった皆様は、現在20歳代にあって、職場で大学で存分に活躍されていることと拝察します。

 私は平成17年3月31日沼津高専定年退職後、平成17年4月1日から静岡県教育委員会に勤務し「魅力ある授業づくり」の事業にたずさわっております。静岡県立高等学校を訪問し授業を参観し、授業改善に資するため先生方に助言をするコーチングスタッフの仕事をしております。

 年配、中堅、青年を問わずあらゆる年齢層の授業を見ますが、20代で元気よく意欲に燃えて授業を行う先生に接すると、沼津高専、学生寮の卒業生も、職場で大学で溌剌とばりばり仕事に勉強に取り組んであろう姿に想いが重なります。しかし、過重な勤務量と未解決の問題を抱え勉強時間が無く「年々馬鹿になる」と慟哭する先生の相談にのることもあります。そのような青年に接すると心が痛みます。

 沼津高専、学生寮の卒業生の中にも職場で大学で大きな壁にあたり、解決できない問題に苦しんでいる人もあるのではないでしょうか。しかし、壁は自分で打ち破るしかありません。強い意志を持って一つ一つハードルを超えてゆくしかないのです。沼津高専生、寮生時代の鍛錬を糧に頑張って下さい。

 沼津高専、学生寮は卓越した修業の場であり「揺籃の庭」でした。寮祭で爆発的に発揮される寮生の力量は、周到で忍耐を要する準備と協力・献身の賜物であって、寮生の心意気をあますところなく示すものでした。寮生一人一人の高い自治能力が日々の円滑な営みと快適で友愛に満ちかつ規律正しい秩序を確立しました。厳格な規律の遵守、朝七時夜八時夜十時の点呼と門限及び出校時の施錠、掃除の徹底は、40余年にわたって築かれてきた沼津高専学寮の規律でした。

 私は寮監として「千日の稽古を鍛とし万日の稽古を練とす」など多くのことを寮生諸君に語りました。3年間寮生諸君にひたすら語ったことを漢字一文字で表象すると、それは「鍛」でした。学を修め業を習い道を求めて鍛錬を継続して下さい。

 私は公的な勤務の他に、FISA(世界ボート連盟)の公認国際審判員として国際試合の審判を務めています。昨年は韓国の華川(38度線北朝鮮との国境)、インドのハイダラバード(デカン高原南端ITの町)に行きました。今年は12月にアジア大会の審判を務めるためにカタールのドーハに行きます。65歳になりましたが元気で活動しています。

 技術立国わが国の中枢を担う卒業生の皆様には技術革新の研鑽を重ねられ、世のため人のために奮闘して下さい。皆様の存分のご活躍をお祈り申し上げます。

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